ご先祖様や大切な身近な人の御霊（みたま）をお迎えし供養する

◇お盆の行事：迎え火と送り火
お盆の行事・供養として行われる「精霊棚（しょうりょうだな）」※盆棚（ぼんだな）とも言います。ご先祖様の御霊（みたま）を迎える｢精霊棚｣を12日夕方～13日朝に設置します。精霊棚とは、仏壇の中の位牌を出してきて安置し、食べ物などお供え物をする棚です。ご先祖様の御霊を乗せるための、なすで作った牛やきゅうりで作った馬もお供えします。こちらに来る際には、馬に乗って早く来られるよう、そして向こうに戻る際は、牛に乗ってゆっくり帰っていただくような意味があるそうです。そして13日の、夕方か夜に菩提寺とお墓にお参りした後、祖先の御霊を迎える｢精霊迎え」として「迎え火」麻の茎などを燃やします。御霊が迷わず帰ってこられるように…と願い火を焚きます。そして、16日にお盆の間一緒にすごしたご先祖様の御霊を送り出すのが｢精霊送り｣です。この時には｢送り火｣を焚きます。川や海に灯篭を流す地域もあります。

◇新盆（にいぼん）
お亡くなりになられた方の七七日（49日）の法要を行い忌明けの後､初めて迎えるお盆を｢新盆（にいぼん）｣または、「初盆（はつぼん）」といいます。七七日（49日）よりも以前にお盆を迎えた場合、その年ではなく翌年が新盆となります。お寺では新盆供養が行われたり、普段のお盆よりも丁寧にお参りしたいものです。

◇お盆の行事：棚経
おお盆の期間中、お寺さんが各家々を訪問しお経を読まれます。そのお勤めを棚経（たなぎょう）といいます。お寺様が来たら、お布施・御車代を用意しておきお渡しします。7月、8月のお寺様は大変忙しくもあります。ご葬儀などの依頼の際はお寺様のスケジュールを確認いたしましょう。

◇新盆提灯と盆提灯
お盆に用意する提灯の姿かたちは地域によって異なります。新盆（初盆）には新盆用の提灯として白張りの提灯、普段のお盆は絵柄のついた提灯（クルクル回る）を用いる事が一般的には多いようです。提灯の明りでご先祖様や大切な身近な方の御霊が帰宅する際に迷いませんように…という意味だと言われております。近年、東京の都心部ではマンション住まいなど限られたスペースであるためか、大きな提灯を設置したり、新盆用白提灯を玄関先に吊るしたり、という事はあまり見られなくなりつつあります。お盆の際は決して大きなものでなくとも明りを灯し、新盆の際は玄関が無理でもお仏壇の近くに白い提灯を設置してあげたいものです。

◇浄土真宗のお盆
浄土真宗は13日頃からで、如来のご恩と先祖の恩に感謝を新たにする仏事です。お寺に参り、お墓を掃除して家族で参ります。お仏壇を掃除し、仏具を磨きます｡先祖の法名軸か過去帳を並べます。打敷を掛け、お花を飾ります。15日､16日はより丁重にお勤めを致します。ほかの宗派のように先祖の精霊を家に迎え､仏膳のご馳走や数々の供え物で供養をすることはしません｡また、浄土真宗では盆提灯ではなく切籠灯籠（きりことうろう）を吊られる事が多いようです。他の仏教ではお寺さんがお盆のお経を読む事を棚経といいますが、浄土真宗では「報恩感謝」といいます。いずれにしても、ご先祖様や亡くなった身近な方を偲び感謝し、お参りすることには変わりありません。